|
作曲家が選曲や構成など全てをプロデュースする「作曲家プロデュース・コンサート」も第3回を迎えました。作曲家自らが解説者として参加し、聴衆とオーケストラの間に積極的にかかわることで、三者の間を近づけようとするこの試みは、多方面より高い評価をいただいています。今回登場する作曲家は、音楽は「自身のコスモロジー(宇宙観)の反映として発生し、存在する」という湯浅譲二さんです。
|
|
|
湯浅譲二さんってどんな人?
|
1929年生まれの75歳にして、毎年バリバリ新作を発表し続けている超人的作曲家!慶應義塾大学医学部在学中に和声を学んだ他は独学で作曲を勉強。1951年、作曲家・ピアニスト・詩人・画家・造形作家・写真家・照明家・エンジニアまでを含めた芸術の総合的グループとして発足した「実験工房」のメンバーとして、武満徹らとともに創作活動を始めたんだ。メシアンやバルトーク、ジョリヴェなどの影響を受けた時期から、電子音楽や邦楽器、声など音素材の幅を広げた時期、そして1970年代頃からは音楽的時間について新たな認識を持って取り組むようになり、その多様化を図っていくようになる。いつでも新しい境地へ果敢に挑み続ける姿勢を保っているのは本当にすごいことだね。
|
|
映画音楽も手掛けているとか。
|
最近では2000年に映画『梟の城』(司馬遼太郎原作/篠田正浩監督)の音楽で日本アカデミー賞を受賞。NHK大河ドラマの音楽も担当していて、『元禄太平記』『徳川慶喜』などよく知られている。
それから童謡にもすばらしい作品を書いていて、最近CDがリリースされたばかりだよ。「インディアンがとおる」や「ピコットさん」など、僕たちが親しんできた曲も多い。既成概念にまみれていない子どもにこそ音楽性の豊かなものをあえて与えるべきという信条にもとづいて、高い音楽性を備えたうたの数々を作り上げているんだ。
|
|
演奏される曲目にはどんな特徴があるの?
|
《始源への眼差》は今回、 1992年作の「II」に加え、新作「III」が初演される。テーマは「人類の始源」から「宇宙の始源」への眼差に広がっているとのこと。聴く人を「未聴の世界、人類が忘れ去ってしまった魂の未知の世界に時限旅行」させることを期待しているそうだよ。13年を経た今、湯浅さんの《始源》への追求がどんな形になって表れてくるのか、楽しみだね!
《芭蕉の情景》は自然との深い関わり合いを重視する彼自身が共感する松尾芭蕉の句がタイトルになっているんだ。メシアンに「この曲は時間の新しいコンセプトを持っている」と絶賛されていて、「時間の構造」への彼の取り組みのひとつの集大成といわれる代表作。
《内触覚的宇宙V》は2002年、創立45周年記念委嘱の日本フィル・シリーズ第36作として演奏されて尾高賞を受賞!「内触覚的」という言葉はハーバード・リード(評論家)の『イコンとイデア』から引用されているんだけど、「文化の差を越えた、太古の時代から脳の奥底にあり、何かの拍子に目覚めさせられるようなものが、海馬のあたりに眠っている。そういうものに訴えかける音楽を書きたいと僕はずっと思ってきました」(『音楽現代』2003年4月号より)と彼はこの曲の考え方の根本について語っているよ。編成は管弦楽に和太鼓。曲の最後には、盆踊りのメロディーも聞こえてくるんだ。
また彼は、音楽は「ソノラス(響きが良い)なものであるべきと思う」(同上)と語っていて、この曲も美しい響きを持っているんだ。
|
|
作曲家に影響を与えた曲目がいっしょにプログラミングされているのも、このコンサートの魅力なんだよね。
|
湯浅さんの選んだ《パッサカリアとフーガ》は、J.S.バッハがオルガンのために書いた作品。低音主題による変奏曲の奥義をきわめた作品で、無伴奏ヴァイオリンのためのシャコンヌと並び称されているんだ。中でもストコフスキー編曲による管弦楽版は、彼がオルガニストでもあっただけにバッハ的世界がより忠実に表されているんだとか。この作品が彼にとってどう重要な意味を持っているのかが、コンサートで明らかに!
|
|
湯浅さんを根底から知ることができる貴重な演奏会なんだね。同世代に生きる作曲家の生の声を、ぜひ聴きに行かなくっちゃ!!
|